競艇場でギャンブルをし、飲み屋で酔いつぶれる。
その男にとっては、特別なことではない。
たとえ人工呼吸器をつけていたとしても。
兵庫県尼崎在住の池田英樹(36歳)は27歳のときに、通勤途中で交通事故にあい、それ以来、首から下が動かず、呼吸は機械によって制御されている。
そんな英樹がヘルパーと1年がかりで北海道旅行を準備する。
事故当時の生きる気力を失っていた頃からは考えられない、呼吸器をつけて初の長期旅行。
夏の北海道の美しいロケーションの中で、両親やはじめてかかわるボランティアとともに喜びやトラブルを味わいながら、大地を駆け抜けていく。
達成感と喪失感を繰り返す生活の中で、人とかかわりながら、生きる力へつなげていこうとする英樹の2年間を見つめた作品。
ふとっちょの木 兵庫県加東市上鴨川1059−351